松井老舗について

創業の歴史

今からおよそ380年前、江戸時代初期の元和元年。当店は初代当主である和菓子職人・勝太郎によって創業されました。

当時の長崎は、日本で唯一西洋諸国との交流が許された特別な街でした。さまざまな文化が交わるその地で、三代目の久太郎はさらに和菓子の技を磨こうと考えました。そして、ポルトガルから伝わったばかりの「かすてら」の製法に挑戦したのです。

その後、かすてらは日本人に広く親しまれるお菓子となりました。


松井老舗のこだわり 匠の製法「五三焼」

ポルトガルから長崎へかすてらが伝わった当時の文献によると、その製法は小麦粉と卵を同じ分量で混ぜ、蒸し焼きにするというシンプルなものでした。

しかし、時代とともに材料の配合や製法に工夫が重ねられ、さまざまな技法が確立されていきます。そんな中、限られた職人たちが腕を磨きながら作り上げたのが「五三焼」です。

「五三焼」とは、名前の通り、卵黄5に対して卵白3という割合で作ることで、より濃厚な味わいとしっとりとした食感を生み出した特別なかすてらです。通常のかすてらに比べて卵の割合が多くなることで生地が重くなり、焼き上げるのが非常に難しくなります。そのため、熟練の職人が繊細な技と長年の経験を生かし、一つひとつ丁寧に仕上げています。機械では再現できない、匠の技が光る逸品です。

 

十代目 松井博史